【白点病について】

熱帯魚飼育の飼育の中で最もかかりやすいのが『白点病』です。 
熱帯魚を1年以上飼ったことのある人なら、一度や二度は経験していると思います。それほど、ポピュラーな病気なのですが、意外とやっかいな病気で、伝染力も強く、こじらせてしまうと水槽内の熱帯魚が全滅することもあり得ない話ではありません。 

症状も神出鬼没で、いったん病気が治まったかのように見せて実は治まってなかったり・・・ などと、初心者泣かせの病気でもあります。
そのため、白点病のメカニズムをしっかりと理解した上での治療がとても重要になります。



白点病がやっかいなワケ

白点病とは、その名の通り体のあちこちに『白い斑点』が発生する病気ですが、この『白点病』の原因菌である『ウオノカイセンチュウ』は常に熱帯魚の体に寄生しているわけではありません。熱帯魚の体に寄生しているのは幼生~成虫になるまでの間だけです。

成虫になると熱帯魚の体から離れ水中を漂った後、繁殖のためにシストと呼ばれる休眠状態に入ります。その後、分裂による繁殖活動を行います。
繁殖準備のためにウオノカイセンチュウが熱帯魚の体から離れるので、繁殖中は熱帯魚の白点が消えます。ここで『病気が治った!』と思い治療をストップしてしまうと、水中や底砂で増えた幼生が再び熱帯魚の体に寄生して… と、状況は悪化の一途をたどってしまいます。 

さらにやっかいなのが、熱帯魚の体に寄生している間は薬や塩浴による効果が少ない、ということです。つまり、『白点病が発症している』と、目で見てわかる間は薬の効果が薄いということです。 
熱帯魚の白点が消えたのは治療が成功したのではなく、単に『ウオノカイセンチュウ』が成虫になって繁殖の準備が整ったので熱帯魚の体から離れただけなのです。 
実はここからが治療の始まりだ、ということを頭に置いておくようにしてください。



白点病のメカニズム

白点病の原因菌である『ウオノカイセンチュウ』は、熱帯魚の体表で成長し、成虫になると熱帯魚の体から離れ、水中を漂い、底砂や水草などに付着します。その後、外表が厚めの膜で覆われ(シスト化)、細胞分裂による繁殖が行われます。この細胞分裂によって数百から数千の仔虫が発生し、仔虫はやがてシストから外へ出て、熱帯魚に寄生するために水中を漂います。
この、寄生~シスト化~分裂~再寄生までのサイクルは大体4~5日間隔で回り、再寄生ができなかった仔虫は消滅していきます。 

また、『ウオノカイセンチュウ』は低温を好み、水温25℃以下で活発に動き回り、26℃以上になると活動が鈍り、30℃以上になると活動がほぼストップします(完全に死滅するわけではないです)。そのため、水温26℃以上を保っている水槽では『白点病』の発生確率は下がります。ちなみに『ウオノカイセンチュウ』はほとんどの水槽に生息している『常駐菌』なので、完全に消滅させることはほぼ不可能です。



【ウオノカイセンチュウについてのまとめ】

ここまでお話ししてきたことをまとめると大体以下のようになると思います。

  • 水温25℃以下で活動が活発になり、30℃を超えると活動がほぼストップする。
  • 一旦宿主から離れて繁殖~再寄生を行い、一気に水槽内の熱帯魚に感染する恐れがある。
  • 寄生中~シスト化の間は塩浴や薬による治療効果はほとんどない。
  • 熱帯魚の体から離れて繁殖を行うため、白点が取れても治療が完了したわけではない。
  • 『常駐菌』のため、完全に水槽からいなくなるようにするのはほぼ不可能。

【治療は病魚を隔離? それとも水槽ごと薬浴??】

これは意見の分かれるところですが、私は『水槽ごと薬浴する』という方が理に適っていると思います。 というのも、白点病の原因菌である『ウオノカイセンチュウ』は宿主からいったん離れたあとに分裂による繁殖を行い、再び宿主を探して水中をさまようからです。 

ということは、再び寄生するのは今まで寄生していた魚だとは限らないわけですよね。つまり、白点病が発生したという事は、もうすでに繁殖の準備のためにシスト化を行っている個体がいる可能性が高く、それが再び寄生しようと水中を漂うときに病魚を隔離していたとしても、他の魚に寄生してしまい、結局はその魚を治療して… の繰り返しになる恐れがあります。
『元気な魚なら寄生されることは無い』とは言っても、すべての熱帯魚が健康であるということはなかなか確認できないものです。 

ただし、エビや水草、その他塩浴や薬浴によって被害がでそうなものが水槽内にいる場合は、影響の出にくい薬品を用いるか、病魚を隔離するのも一つの方法だと思います。


白点病の治療法のまとめ

それでは、白点病の治療についてまとめてみたいと思います。 
まず、『ウオノカイセンチュウ』は高温に弱いので、水温を28℃~30℃くらいに上げるのが効果的です。ただし、水温をいきなり上げてしまうと熱帯魚にとっても負担が大きすぎるので、1日当たり1℃くらいのスピードでゆっくりと上げていくようにしてください。 

この水温上昇と同時進行で塩浴、または薬による治療を行っていきます。塩浴の場合は0.5%濃度による治療を行います。(塩浴についてへ)
薬品の場合は『メチレンブルー』や『グリーンF』が効果的ですが、水草やエビなどを飼育している場合は隔離して塩浴・薬浴させるか、『フレッシュリーフ』などのような影響の出にくい薬品を使うのも効果的です。 

薬品の効果は徐々に薄くなっていき、3日~6日くらいでほとんど効果が無くなってしまいます。この期間では、『ウオノカイセンチュウ』の1サイクルの期間を考えると少し不安です。そのため、投薬後3日~5日くらい空けて再度投薬を行う必要があります。再投薬の際は水槽内の水を1/3程度入れ替えた後に1回目と同量程度か、ちょっと少なめの量の薬を入れて様子をみます。

2回目の投薬が終わった後、さらに3~5日後に魚の様子を観察し、また1/3程度の水替えと投薬を行います。これを繰り返すことで、白点病は治療することができると思います。 

ただし、初めにも言いましたが『白点病は熱帯魚の体から消えたら治療完了ではない』ということを忘れないようにしてください。熱帯魚の体に白点が出なくなった後も1週間程度は薬浴を続け、様子を見てあげてください。 
ちなみに、治療完了後は水温をもとに戻すのを忘れないようにしましょう。戻すときも、1℃/1日くらいでゆっくりと戻してあげてください。


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